不思議な家のアリス
「荷ほどき手伝うか?」
唖然とする私にハリーが問いかける。
手伝って欲しいのは山々だけど、下着やら何やら、見られたくないものも入っているからそうもいかない。
「大丈夫…ありがとう。」
「あそ。んじゃあ俺はテレビ持ってくるわ。ベッドあるし、布団は物置部屋にしまっちまうぞ?」
「うん…ありがと」
―カチャン
一人になり、とりあえず部屋をウロウロしてみる。
高級感溢れるこの部屋に、我が家の家具が余りにもミスマッチで何だか可愛そうだ。
…とりあえず荷ほどきしなきゃ。
ガムテープを勢いよく剥がし、段ボールから荷物を取り出す。中には本が詰まっていた。
予め配置された本棚に本を戻し、また違う箱を開ける。
そんな要領で3個程段ボールをやっつけた時、"キィ"と小さく音を立ててドアが開いた。
「テレビどこ置く?」
そこにはテレビを抱えて戻って来たハリーの姿。
「そこの棚の上に置いてくれる?」
「これで良いか?」
「うん。ありがとう。」
「あ、そうだ。もしベッドが寝心地悪かったらじじいに言って布団出して貰えよ。」
「うん」
私が頷くと、ハリーも頷いて出て行った。
さ、片付け片付け。
結構量あるから、夜までかかるかもなぁ。
不安な気持ちを誤魔化す為に、鼻唄を口ずさみながら、せせこまと荷ほどきに勤しんだ。