不思議な家のアリス
…ん?コレ何だろ…?手帳?
何個目かも分からない程大量の段ボールを開け、最後の箱に取りかかったとき、黒い革の手帳が出てきた。
パパの…?紛れ込んじゃったのかな。
何気なくページを捲ってみると、それは日記帳の様だった。
一瞬見るのを躊躇したが、興味が勝ってしまった。
パパ、ごめんなさい。
ペラペラと流し見たけど、何て事無い。普通の日記だ。
何だか今更物凄くパパに悪い気がしてきて、閉じようとした時…"黒木故"と言う文字が目に入った。
4月20日
今年は一年の担任だから、皆まだ小学生の様で毎日大変だが、ようやく受け持ちのクラスも馴染んできた。
ただ一つ気になるのは、黒木故と言う生徒。
何を言ってもリアクションが無く、他人を寄せ付けず、クラスから孤立している。
ついこないだまで小学生だったとは思えない位、変に大人びていると言うか…あの年で全てを悟り、失望したかの様な目をしている。
黒木は何を見てきたのか。あいつの目はまるで―
―ガチャ
!!
突然ドアが開き、急いで手帳を閉じた。
そこに居たのは、今まさに日記に登場していた黒木くん。
「飯。」
無愛想に一言だけを残し、すぐにきびすを返して行ってしまった。ご飯に呼びに来てくれたらしい。
ビックリした…υ
何で黒木くんまでこの家に?皆よっぽど仲が良いのかな…。
とりあえず、日記はまた後にしてご飯いただきに行こう。
よく考えたら朝から何も食べてない。