不思議な家のアリス


一階に下りると賑やかな声が聞こえてきて、すぐにリビングが何処にあるか分かった。




―ガチャ



そこにはちょっと見慣れてきたド派手な5人。みんな一緒に食べるらしい。

ご両親の姿は無く、緊張がとけた。



「おぉ、美波ちゃん。ここ座んな。」



仕事帰りらしいスーツ姿の圭吾さんが手招きして、私を呼んだ。言われた通り隣に座る。





…え?



なに?コレ…。



テーブルの上には大きな白いお皿に乗った……備長炭?



「今日は秋夜が飯作ったから…ちょっとアレだけど。」


そう言って圭吾さんが苦笑いすると、秋夜が「アレって何だよ!?立派な唐揚げじゃねぇか!!」とわめき散らした。



……コレ、唐揚げなんだ…。



"いただきます"の号令を済ませたは良いものの…誰も箸を伸ばさない。


春と勇志君に至っては、冷蔵庫を漁ってウインナーを焼きだす始末。




「おい、食えよ!何時間漬け込んだと思ってんだよ!見た目はちょっとアレだけどな、キュー●゚ー三分クッキングのレシピで作ったんだ!不味いわけねぇ!」


秋夜が再びわめいたが、箸を伸ばす強者はいない……いや、いた。


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