不思議な家のアリス
ここを出た時って何だろう。家に帰ったらやってけないってこと?
目の前でウインナーの取り合いを始めた春と勇志君を横目に考える。
「部屋、アレで良かった?」
ボーッとする私に不安げに圭吾さんが聞いてきた。
「?はい。」
「そっか、なら良かった。いや、女の部屋なんかよくわかんねぇからよ、壁紙から何から秋夜に全部やらせたんだけど…」
…秋夜がアレを…?
ぶはっ!!
家具屋さんでピンクの壁紙やらカーテンやらシャンデリアを選ぶ秋夜を想像したら、思わず吹き出してしまった。
こんなド派手なヤンチャボーイがあんなメルヘンなお部屋を……ぷぷっ。
「感謝しろよ」
偉そうにふんぞり返っても、もうメルヘンなアンタしか想像出来ないよ、秋夜。
私が笑っていると、目を細めてこちらを見つめる圭吾さんと視線が交合った。
「やってけそう?」
昨日まではめちゃくちゃ不安だったけど、やっぱり誰かと食べるご飯は良いものだ。
半裸の男がウロチョロしてるのはいただけないが、久しぶりの賑やかな雰囲気に、少し心が和んだ。
「…多分…。」