不思議な家のアリス


やってけいそうな気はするけど、この家の主であるご両親と会わないにはまだ何とも言えないな…。



「ご両親はいつ頃戻られるんですか?」



私が聞くと、空気が変わった…様な気がした。


微妙な緊張感が走り、さっきまで騒いでたバカ三人(秋夜・春・勇志)も黙々とご飯を食べ始めた。





何?この空気…。




「いや、親は居ねぇんだ。」


親は居ないって…?
"この家には"居ないって事?

"今は"居ないって事?




それとも…どこにも居ないって事……?




「俺ら皆、親は居ねぇんだ。」



こめかみをポリポリとかくのは、困った時の圭吾さんの癖なのかも知れない。


この言い方だと"どこにも"居ないって事なのかな…?



…何で?

じゃあこの家は?




疑問を募らせていると、「ちょっと来て。」と圭吾さんに呼ばれた。


黙って続き、客間らしき所へ通された。


圭吾さんと二人きりだ。




「えっと…な。さっきも言った通り、俺等に親は居ねぇ。」

「どこにも…ですか?」


私が聞くと、圭吾さんは黙って頷いた。


「いや…正確にはクロ(黒木)には居る。春と勇志も…いるかも知れねぇ。」




…どういうこと…?


< 32 / 68 >

この作品をシェア

pagetop