不思議な家のアリス
目を見開いて私を見る勇志くん。
「ドMか、お前。」
…………。
ドえ……ドM!?
私が!?
冗談じゃない!!私痛いの嫌いだし!!
「違うよ!!」
「…ふーん?あ、そう…。」
ニヤニヤと私を舐め回すように見つめる勇志くん。
17才の行動では無い。なんかセクハラ上司みたいだ。
しばらくそうしてから、パタンと小さく音を立ててドアを閉め、勇志くんは消えて行った。
直後。廊下をドタドタと走る足音。推測するに、多分階段を下りて、一階に下りたみたい。
「皆聞けー!ちび太はドMだぞー!」
一階から響く声。
多分近所の人にも筒抜けだろうと言うその声は、当然家の中に居る人なら全員が聞いたと思う。
急いでドアを開け、廊下で「違う!!」と叫ぶと…
「よぉ、M子。」
ニヤニヤしながら秋夜が自分の部屋のドアを開けて、廊下に出てきた。
「だから違うって!」
「大丈夫だよ、安心しろ。俺が王様の日にたっぷりいじめてやるから。」
…何を安心しろと?
て言うか、いじめるって……何!?
考えていると、私の顔がボッと火がついたように熱くなった。