不思議な家のアリス


目を見開いて私を見る勇志くん。





「ドMか、お前。」





…………。


ドえ……ドM!?

私が!?

冗談じゃない!!私痛いの嫌いだし!!



「違うよ!!」

「…ふーん?あ、そう…。」


ニヤニヤと私を舐め回すように見つめる勇志くん。

17才の行動では無い。なんかセクハラ上司みたいだ。



しばらくそうしてから、パタンと小さく音を立ててドアを閉め、勇志くんは消えて行った。


直後。廊下をドタドタと走る足音。推測するに、多分階段を下りて、一階に下りたみたい。




「皆聞けー!ちび太はドMだぞー!」




一階から響く声。

多分近所の人にも筒抜けだろうと言うその声は、当然家の中に居る人なら全員が聞いたと思う。




急いでドアを開け、廊下で「違う!!」と叫ぶと…




「よぉ、M子。」




ニヤニヤしながら秋夜が自分の部屋のドアを開けて、廊下に出てきた。





「だから違うって!」

「大丈夫だよ、安心しろ。俺が王様の日にたっぷりいじめてやるから。」



…何を安心しろと?

て言うか、いじめるって……何!?


考えていると、私の顔がボッと火がついたように熱くなった。


< 38 / 68 >

この作品をシェア

pagetop