不思議な家のアリス


麦茶を出すと、「ありがとう」とまともな彼が一口飲んだ。


他の皆は椅子に浅く腰かけて背もたれに寄っ掛かり、さっきまでとはうって変わって黙り込んでそれぞれ座っている。


多分彼らなりにパパの死を偲んでくれてるんだと思う。


皆うっすらと目に涙を溜めている様に見える。





「…遅くなったけど、俺は月島圭吾(ツキシマ ケイゴ)。おい、おめーらも挨拶しろ。」


まともな彼…改め圭吾さんが皆に言う。


「黒木故(クロキ ユエ)」

無愛想に金髪の、故君が呟く。



それに続き、みんな名乗り始めた。やっぱり無愛想に。


ピンクは水城春(ミズキ ハル)、

オールバックは冴島勇志(サエジマ ユウシ)、

赤髪は幹本秋夜(ミキモト シュウヤ)。





皆が言い終わった所で、




「俺らアリセン…有栖川先生の昔の教え子。」




と低い声で圭吾さんが言った。



やっぱりそうだったんだ…。




ふと、パパが二~三年前ぐらいによく『どうしよーもねぇ奴らが居るんだよ。危なっかしくて目が離せないんだ…』何て話していたのを思い出した。





この人達の事だったのかも知れない。


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