組員C
さて老婆が引っ込んでから、森川は、この家には家電などないことを思い出した
テレビもみれない。ラジオも、もちろん
携帯は逃げる途中で兄貴たちから連絡がはいるのが恐ろしくて捨ててしまった
タバコも残り少ないし、さりとて早寝も出来ない
「南無阿弥陀仏…」
若い女の声が夜の静寂の中、森川の耳をとらえた
森川は、ガバッと起き上がり声の主を探した
あのババァ、部屋に入るなとか言いながら若い女を隠してたんだな!
声がする部屋の障子を開けると中には大きな仏壇があり、お灯明がこうこうと正座をして経をとなえる女を照らしだしていた
「だれ?」
振り向いた女は、抜けるような白い肌、なまめかしい赤い唇。そして浴衣にかかる長い黒髪の束ね方すらが艶っぽい美人であった
「部屋に入らないでくださいと申し上げましたよ。今ならば間に合うかもしれません。とにかくここから出ないと…あ、なにを…」
女の話など耳に入らない
森川は女を押し倒した
始めは抵抗していた女も、だんだんと積極的になり、最後には森川がくたびれ果ててしまった
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