Milk teA KiiS

空港に辿り着いて
真っ先に探す
隼人の姿

たくさんの人に
埋もれ
見つけ出せない自分が
悔しい

行っちゃったの?

「沙羅ちゃん?!」

半分諦めて
視線を落とした
あたしに

離れた場所から
聞こえた声

反射的に顔を
上げれば

見間違うはずがない
金髪頭の隼人が
目を丸くしていた

良かった
間に合った

『隼人!』

既にゲートに
入りかけの隼人を
なんとか引き止め

1つ息を吐いた

走ってきたから
涙はとっくに
乾いたみたい

それで良い

涙なんて
あたしたちの
さよならには
似合わないから

「なにして―」

『そこで良い!』

あたしの所に
戻って来そうな隼人を
止めたのは

届く距離にいたら
引き止めてしまう
自分がいるから

困った顔で
その場に止まった
隼人を見て

大きく息を吸った

『夢叶えるまで
戻ってこないでよ!』

叫んだ声は
空港に少し響いて
恥ずかしいなんて
今更思った

ごめんね

あたしまだ
すごく弱いから

この距離を
縮められるくらい
頑張ってみるよ

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