Milk teA KiiS

「沙罹~」

『ん?』

2時間目も終わり
雑誌に目を落とし
ていたあたしに
トイレから帰って
きた舞奈海が
教室の扉付近で
こっちこっちと
手招きしてる

『なに~?』

「や~沙罹に
お客さん」

バトンタッチね!
と笑顔で言われ
そそくさと
逃げる舞奈海

廊下を見ると
全く知らない
男が立っていた

「滝源さん
今時間良いかな?」

『はぁ...』

連れられるがまま
辿り着いた屋上

この学校の屋上は
開放されているが
生徒や先生は
滅多に来ない

暑いときは
クーラーの効いた
校内に

寒いときは
暖房が効く校内に

そりゃぁ
温度の変化に対応
出来るわけない
この場所が
人気があるわけもない

でもあたしは
ここが
好きだったりする

「滝源さんが
1年の頃から好き
だったんだ.
彼氏いないなら
俺と付き合わない?」

告白されるのは苦手

いくら男嫌いでも
その気持ちは
単純に嬉しい

数いる女の子から
あたしを
選んでくれたから

でも残念ながら
その気持ちに
応える気もなく

返す言葉も
分からない

だから苦手

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