material girl
「サトシっ!」
その名前を聞いた瞬間、オレの体は一瞬硬直した。
彼女の胸に触れていた手の動きが止まる。
彼女の顔を見上げると、目から涙が流れていた。
「…どうして?今まで、どんな男と寝たって、一度もサトシを重ねたことなんてなかったのに。どぉしてぇ~!」
わぁーっと、せきをきったように泣き出した彼女は、まるで少女のようだった。
…なんでだよ。
なんで兄貴を思い出して、こんな泣いてんだよ。
これじゃあ、まるで、兄貴を愛してたみたいじゃねーか。
愛なんて信じてなかったんじゃねーのかよ。
兄貴とも、その他大勢と一緒で、遊びだったんじゃねーのかよ…