material girl


「…どうして、そんな泣けんだよ。もう5年も前のことだろ?」

航輝の声に我に返る。

泣いていた目をこすり、脱ぎ捨てた服を着ながら体を起こすと、うつむいてベッドの脇に座る航輝がいた。

「え?何で…。サトシを、知ってるの?」

あたしの問いかけに、航輝がこちらを向く。

「あぁ。知ってるよ。サトシはオレの兄貴だよ。」

航輝のいつもと違う口調と、彼の言ったことが、本当だとは思えなくて、あたしは理解するのに数秒かかった。

「ウソ…」


航輝が、サトシの弟?

たまにみせる顔や声は、弟だから似ていたの…?


そんな…


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