material girl
「解放…か。あたしは、解放されるんじゃなくて、ずっと捕らわれてたかったんだけどね。」
あたしの言葉に、何と声をかけたらいいのか戸惑いを隠せない彼がいた。
「冗談☆本気にしないでよ、やだなぁ。大丈夫だから。先に進まなきゃいけないのは分かってるし。」
彼にこれ以上、悲しい顔をさせたくなくて、あたしは笑って言った。
分かってるんだ、記憶はどんどん薄れている。
先へ進むしかない。
過去には戻れない。
思い出だけで生きていけるほど、人間って生き物は強くない。