material girl
びっくりして、あたしはママを見た。
優しく微笑むママ。
「ずっと心配だったんだから。いつかちゃんと話さなきゃって思ってた。でもあなたの気持ちが落ち着くのを待ったほうがいいと思って。大好きな人の死を、ママはまだ経験してないから、あなたは凄いと思う。乗り越えるのは、本当に大変よね。もしパパが事故にでも会ったらって考えたら…想像さえ出来ないから。」
ママの言葉に、またあたしの目から涙が落ちる。
強がってしまうあたしのこの性格は、こんな時でも弱音をはこうとしないで、涙をぬぐい、夕食をつつく。
だけど一度流れた涙は、止まらなくて、口の中にしょっぱい味が広がる。
「もう。マジ勘弁なのに、こーゆードラマみたいなの。ありえない…」
泣きながら言った時、ママが向かいで微笑んだ。
「ホント、その性格、誰に似たんだか。」
「パパではなさそうだから…ママなんじゃない?」
泣き笑いみたいな顔になるあたしの頭を、ママが撫でた。
「たまにはさ、頼ってよ。親なんだからさ、あんたの倍はこの人生、生きてんだから。結構役に立つと思うけど?」
…ありがとう、ママ。
あたし、ママとパパの子に生まれて良かったよ。
こんな最高の親、他にいないって思うもん。