material girl


アタシが呆気にとられてると、彼が緊張してるのか、突然アタシに向かって、震えた声で話しはじめた。

「あ、あのっ!り、あ、香月さんって昔モデルやってましたよね!?」

「…はい。」

「あ、あの、僕、そのときからずっとリサさんのファンなんですっ!!あ、リサさんなんて呼んですみませんっ!ついクセで。香月さん、モデル時代は「リサ」しか公表してなかったから。」

アタシは顔の赤い彼を見て、目をまるくした。

ファンだって言われることには慣れてるけど、まさか彼が、

あの中村航輝が、

アタシのファンだなんて、夢にも思ってなかった。

ここに、天才って呼ばれてる少年はいなくて、普通の18歳の少年がいた。

そのことが、アタシをびっくりさせた。

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