material girl


「でもさ、マジな話、元気そうで良かったよ。あの人のことふっきれたのは、忍成俊介のおかげ?」

由梨が向かいで優しく微笑む。

「…うん。忍成のせいだけじゃなく、他にも色々あったんだけど。やっぱ恋の力はでかかったのかな。今までごめん。今さら呼び出したりして、あたしホント都合いいよね。あたしが由梨だったら今さら何?って感じだもん。」

「まぁ、しょうがないよ。こんだけ時間かかっちゃう程好きだった人に中学生にして出会えたあんたは、ある意味純粋すぎたのかもね。恋に対して不器用なだけじゃん?まぁ過ぎたことはぁ、ここの食事代で許してあげるから♪」

由梨が冗談っぽく言って笑った。

「ったく、相変わらずちゃっかりしてるわ。」

なんて言いながら、ホントは全然食事代なんかじゃ足りないの知ってる。

ありがとう、由梨。

って素直に言えないあたしは、心の中で何度も言った。


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