material girl
「じゃあ、あたしここで。2人は一緒に帰るでしょ?また明日ね☆」
駅に着いて、モモはあたし達と方向の違う電車に乗る為、そう言って、去っていった。
あたしと航輝が残される。
「送ってくよ。もう遅いし。」
航輝が敬語を止めただけで、なんかずっと男っぽくなった気がする。
ドキッとしてしまう自分が嫌だ。
「ってか、何かないの?あたし、忍成にキスされたんだけど。しかもあんたの目の前で。いいの?」
「それは…忍成さんが勝手にしたことだし、リサ…は悪くないから。気にしてない。」
初めて名前を呼び捨てにされて、あたしは彼を少しびっくりした顔で見つめてたんだと思う。
彼の顔が赤くなる。
不思議だ、彼のふとした仕草が、あの人とたまに重なる。
全然タイプの違う2人なのに。
変なの。
あの人を思い出すのは、何年ぶりだろうか。
どうして今さら…
「じゃあ、もうこの話し終わりっ!なかったコトにしちゃえ♪帰るか。」
あたしは、頭にぼんやりと浮かんだ彼を消すため、わざと明るい声で言いながら、航輝の腕に自分の腕を絡める。
照れてる彼が面白くて、そっからあたしはずっと手をつないで帰った。
なんだかその手は、あったかかった…