愛が呼んだもの
「なんてゆーか、4時間も映画観てさ。最後がハッピーエンドじゃなかったら、なんかこう…ぐったりしちゃうよね。」

ここにいるのはアタシと今まで彼氏だった、洋樹の二人だけ。

彼氏だった、なんて過去形なのはアタシたちが春-…、もうすぐ別れるから。

「4時間も見たのに、そんな終り!?っていうね。」

物語のことについて、熱く語っているのはアタシ、ただいま高校3年生。

ま、そこがいいところだったりするのかな、と一人でバットエンドについて語っている。

けど、なんか洋樹が喋らない。

え、呆れてんの?やめてよ、アタシ一人馬鹿みたいじゃん。

「…でもやっぱりさ、最後はハッピーエンドがいいよなー」

「きみの小説みたいに?」

………。

え?何が…。

って、ちょっ。

「ぎゃーーーーーーっ」

洋樹の手が掴んでいるのは、私の書いた小説だった。

どうりで静かだったと思った!

「何勝手に見てんのよ!」

「だってここに落ちてたからっ。見てくれといわんばかりに…。」

「うそつけ~~!」

ちゃんと机の上に置いてましたって。

ホントだもん、といじける洋樹を無視して私は注意する。

「ってゆーかっ。遊んでないでさっさと働く!」

さっきから全然進んでないじゃん。



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