愛が呼んだもの

お別れ旅行

「旅行?」

洋樹が嬉しそうな顔で言ってきた。

「そう、兄ちゃんがくじ当ててさ。これ、宿泊ペアチケット。」

「へー、すごいね!」

集まるのはいつも、アタシの家。

今までも学校の帰りとかで集まったのはアタシの家だった。

火曜日以外は。

「卒業旅行に使いたいって言ったらくれたのよー。どうよ?卒業式のあとの休みにでも。」

「うん!いいね。」

「よし!決まりな!!」

卒業旅行…。

楽しく過ごさなきゃ!!

「急に何かと思ったー。火曜日なのに。そんな話なら、明日の学校でも良かったのに。」

「イヤン!学校で外泊の話をするなんてっ!」

「………。」

馬鹿?

馬鹿なの?

「せっかくだから。優紀ちゃん家にいっぱい来とこうと思って。」

そっか、洋樹がここに来るのも最後になっちゃうんだ。

「あ、じゃあさー、この旅行で最後になっちゃうねー。」

「そうだね、友達同士の男女は2人で旅行には行かないからねー。」

「じゃー2人のお別れ旅行だね!」

「そうそう!6年間ありがとう、さようなら旅行。」

別れ話なのに、花が咲くね。

アタシたち。

なんて思ってたら、急に静かになった。

「「………。」」

その沈黙を破ったのは、

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