寒い朝
「安藤、泣くなよ?」

ニヤリとして先輩が言った。

「――泣きませんよ」

平静を装ってそう告げた。

だけど、声だけは微妙に掠れて。

『すきなひと』が卒業して行くだけで泣いてしまうような、そんな弱いあたしなんて、絶対に許せないから。
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