忘れないで







────キーンコーンカーンコーン。

俺にとって長い長い授業がやっと全部終わった。

────しゅんに会える。
「じゃあな〜汰玖!」
「おう!がんばれよ波留」
「おう」


汰玖は最高の友達。
汰玖が応援してくれるとなんか安心するんだ。



「波留!」
もうしゅんが北高の門で待って手を振っている。
となりに昨日の友達もいる。

「あたしの友達の慶ちゃん!」
しゅんの友達の慶ちゃんと目があったから俺は軽く頭を下げた。
「二ノ宮波留です」
「礼儀正しいんだね。あたしは中島慶。」

なんかなれなれしい奴だな〜と思った。
別に俺礼儀正しいわけじゃないんだけど…。

「ねえ波留くん?」
「?」

なんか慶ちゃんって奴に名前をよばれた。

「なんでしゅんちゃんと一緒に学校来てるの?家近いの?」

別に家は近いわけじゃない。
近かったとしてもそんな理由でわざわざ北高に見送りなんてしたりしない。

俺はしゅんが
「好きだから」

しゅんの顔が少し赤くなった。
慶ちゃんの目が少し大きくなった。

あれ?今俺、『好きだから』ってゆった?

「そーなの波留くん?!
知らなかったあ〜!」

慶ちゃんは驚いていた。
「あ!あたし今日このあと友達と約束してるから!帰るねしゅんちゃん!じゃあね〜」
慶ちゃんはしゅんに手を振って耳もとで何かを囁いていた。
しゅんは少し笑って慶ちゃんに手を振った。



さっきの俺の言葉で沈黙が流れる。なんであんなことゆっちゃったんだろう。
バレンタインももらえなくなる…。

「波留」
「ん?」

いきなりしゅんに名前を呼ばれてびっくりした。

「さっきの………本当?」
「…………本当だよ」

俺は少し恥ずかしかった。
告るのは初めてだし、さっきの自然に出た俺の言葉に恥ずかしくなった。
「あのね……あたしも波留に出逢ってからずっと波留のことが好きだったの…」

え?!
しゅんが俺を?

ずっと俺の片思いだと思ってた…。俺たち、ずっと両思いだった……の?


「まじで?」
しゅんは赤い顔でコクン、と頷いた。
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