忘れないで
「二ノ宮くん」
「?」
「波留〜、女子がお前のこと呼んでっぞー」
「分かってるって!
…何?」

片耳にピンクのピアス。
丸い目をした女の子。

「あ…のね」
「うん?」
「あたし…市ノ瀬桜ってゆーんだけど…」
「うん?」

市ノ瀬桜…

「今日、放課後話したい事があるの!理科室まで来てください…」
「うん…?わかった」

何の用か分かんなかった。
「告白じゃね?」
って波留はゆーけど俺にはしゅんがいるからもし告られても俺は断るつもりだった。

「たしか市ノ瀬桜ってサッカー部のマネージャーじゃなかったっけ??」
「さーわかんね」
市ノ瀬桜なんて初めて聞く名前だし。







────そして放課後になった。
俺は理科室に向かった。
ドアを開けたけどまだ市ノ瀬桜って奴はいなかった。


んー…
なんか理科室って日が当たっててポカポカする。

眠くなってきた。

うとうとしてたらドアが開く音がして目が覚めた。
「二ノ宮くん!もう来てたの?!」
「ああ…市ノ瀬さん」
「桜でいーって!あのね…実は…」

さっきと印象が違うな。って思った。
いきなり“桜”なんて呼べねーよ。

「サッカー部に入部してほしいの!」

……………

「………は?!俺が?!」

告白じゃねーのかよ?!

「あたしねサッカー部のマネージャーやってるんだけど今サッカー部10人しかいないし、みんなやる気がなくなっちゃってるの…だから!二ノ宮くんがサッカー部に入ってくれたら…ちょうど11人になるし、みんなもまたやる気になると思うの!」



サッカー部…




あの頃の悪夢がよみがえる。
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