ちょこ娘
―――……
私は小さい時に
記憶をなくした。
厳密に言うと
小3までの記憶が
全く無い。
お母さんが言うには
なんかの事故の衝撃で
記憶を失ってしまったらしい。
もちろん
事故の事なんか
全然記憶に無い。
お母さんも
当時の事は
言いたくないみたい。
思い出したくないみたい。
だから
私も聞かない。
そして
小3から
私は大きい病院に
行くため
引っ越した。
そこに入院して
治療をした。
幸いにも
生活に必要な
料理の食べ方とか
トイレの仕方とかの
記憶はあった。
そこで
3年間治療して
安定してきたらしいので
病院から離れて
引っ越しする前の
ここに中1で
戻ってきた。
不安で不安で
不安だった私に
声かけてくれたのが
梨絵だった。
ほんと
梨絵に出会ったのは
運命だよ。
私の傷を
受け止めてくれたのも
梨絵だった。
そして
同じ傷を持っていた
梨絵。
梨絵がいたから
記憶が無くても
自分で生きていけた。
自分らしく
生きれた。
過去の記憶より
今。
今を一生懸命生きるんだ。
そう気付かせてくれた。
だから
私は記憶が無くても
全然平気。
全然元気。
もう、元気すぎてごめん。
そして、
イッチーや海斗や涼。
私を受け止めてくれそうな仲間。
…でもまだ
信じれないかな。
信じることは
良い事だと思う。
でも
私はちょっぴり怖いんだ。
記憶が無いこと、
全く気にしてないわけじゃないから。
信じられれば
いいなあ。
どうか
私を、
傷を、
受け止めて。
―――……