詩と書いてバカと詠む
道のど真ん中で立ち止まっていた私と彩葉をぬかそうとした男子生徒が叫んだ私を見てそう言った。
でもそんなことすら気にならないほど私はショックを受けていた。
「おーい、愛花(あいか)さーん。笹木(ささき)愛花さーん」
彩葉の私を呼ぶ声もどこかぼんやりと聞こえてくるだけだ。
「…だめだ、こいつ生気を感じない…」
彩葉はそう呟くと、もぬけの殻も同然の私を引きずって学校まで行ってくれたらしい。
私の意識が戻ったのは入学式が始まったときだった。