その瞳に…魅せられて。
…セイル・ボート…
何人目だろうか…。
ジキルは二車両に来る前に…
何人もの男を倒していた。
振り返れば…床に転がる人間。
汽車に乗って小一時間は立っていた。
息すら乱さず、冷めた表情のジキルは
そっと、ドアに手を伸ばす…。
そして、それを一気に開けた。
静かな車両には有り得ないほど物が無い。
ただ…ぽつんと、ひとつ椅子があるだけ。
…誰も座っていない椅子が。
顔を顰めて、椅子に近寄るジキルとルアン。
そっと触れると…まだ暖かい椅子。
まだ遠くに入っていないはず、
そうジキルが顔を上げた時…。
バタンッと…静かな音がその空間に響いた。