その瞳に…魅せられて。
「貴様のような、腐った者に。
能力を使うなど、体力の無駄だ!」
ジキルは剣を構え、翼を大きく広げる…。
「ほぉ…。口は達者だな。
だが、これはどうかな?」
にやりと微笑んだセイルは棒の動きを止めた。
そして…その武器を振り上げ、
座り込んだままのルアンへ向けて振り下ろす…。
「っ!ルアン!!」
当たり前のように走り出したジキルは
命一杯の力でルアンを抱きしめる…。
ドンッ!!
そう鈍い音が響いたとは言うまでも無い事…。
ジキルは背中の傷の激痛にも…
顔色を変えなかった。
顔を顰める事もしない。
ただ…ルアンの背中を撫ぜて、
冷めた目でセイルを睨み見るだけ…。