その瞳に…魅せられて。
ジキルは焦る様子も無く、
震えるルアンから体を離し、
ポケットから煙草を取り出し、くわえた。
火をつけた煙草…。
白い煙をセイルに吹きかけ、
不敵な笑みで笑ってすら見せるジキルは
手をポケットに突っ込んだ。
「どうした?先程の余裕な顔は。」
そう冷めた瞳をセイルに向けると…
段々と強まってくる手の力…。
ルアンは目に涙を溜めた。
「本当に殺されたいようだな。」
「殺す、殺す。貴様は殺す事しか
出来ない低地能な人間なのか?
ならば、我ら魔族の方が上だな。」
セイルに言葉を返すジキル…。
セイルは顔を顰めた。
「何!」
「人間とは哀れだ。」
ばかにするようなジキルの笑い…。
とうとうセイルの顔から笑みが消え去った。
ぐいぐいと手の力を込めるセイル。