その瞳に…魅せられて。
飛び散った黒き羽根は…まだ数枚、
空を舞っていた。
翼は傷付き…背から血が流れ
腹部には刀が突き刺さったままのジキルは…
貫通するのも構わず…
ルアンを強く抱きしめていた。
「……怪我は…ない、か?」
途切れ途切れになる声は
聞こえないほど小さい…。
「何故…早く…こうしなかった?」
苦痛に耐えられずか…
声が震えているのがルアンにも分かる…。
「早く…殺せば、…いいものを」
そう力なく笑うジキル…
ルアンは上を向き…その時
初めてジキルの顔を見た。
弱々しく…微笑むジキルを…。