その瞳に…魅せられて。
「…っ…」
声を殺して泣いているルアン。
それに近付くのは…ひとつの影。
そして…ルアンを後ろから
抱きしめたその影は
泣いていたルアンのさえも止めた。
「何度、泣けばば気がすむ?」
その聞き覚えのある声と共に…。
緩んだ、ルアンの体に巻きつく腕…。
そっと振り返れば…。
そこには…腰まで伸びた金髪…
グレーの瞳…整い過ぎた顔。
そして…漆黒の翼を持った…
彼が居た…。
彼は唇で弧を描き…
口をそっと開く…。