その瞳に…魅せられて。
「お前に用は無い。
俺が憎んでいるのは、お前の兄のみ。」
そうライルを通り過ぎようとするジキル。
「あの命令は。私に出されていました。」
ジキルが通り過ぎる前に
そう呟くように言うライル。
「その命令の放棄も可能だった。
それもご存知でしょう?」
ライルは、ジキルの方を向いた。
「……。」
「憎くないんですか?私が。」
そう言葉を続けるライル。
ジキルはひとつ小さなため息を吐いて、
ポケットから煙草を一本、取り出した。
パチンッ!と、指を鳴らし…
能力で火を出して…煙草を吸う…。
「……ラスフォアを抜けろ。」
そう一言言って、ジキルは歩き始めた。