その瞳に…魅せられて。
「…。」
ジキルは無言でその男を見ていた。
まるで、戦ってくれ。と…
哀願するような瞳を向けてくる男は…
やはり微笑を消していない…。
「逃げるんですか?」
ライルはそう棒をジキルの剣から離した。
「何故、殺そうとしない?
私に殺されたいのですか?」
棒を構え、鋭い瞳とは裏腹に
優しい笑みを浮かべるライル。
「お前は…人を殺せない。」
ジキルは口から煙草を噴出し、
ライルの瞳を見据えていた。
「っ…。貴方の大切な人達を殺し…
貴方を拷問にかけたのは…この私です。」
「いや、セイルだ。」
顔を歪ませ、言うライルに…
ジキルはそう言い放つ。