その瞳に…魅せられて。
屋根に飛び乗る脚力は相当な物。
ライルはふっと、鼻で笑った。
『……ラスフォアを抜けろ。』
そう言ったジキルの言葉が頭を巡る…。
「そうしたくても…出来ないんですよ。」
眉を下に下げ、ライルは呟いた。
「自分の目的を…果たすまでは……」
ライルはそっと立ち上がり、
屋根伝いに走り出す…。
そっと横目で、その姿を見ながら
ジキルはため息を吐いたのだった。
(俺が倒すべき男は…セイル・ボート。)
握り拳をポケットの中で作り、瞼をそっと閉じる。
(この手で…復讐を。してみせる)
閉ざした瞼を開ければ…
目の前には目的の屋敷が小さく見えた。