その瞳に…魅せられて。






ジキルは顔を顰めたまま、彼女を見ていた。
白い肌に真っ赤な血…。


喉を抑え、首を振るだけの彼女…。


ジキルはため息を吐いた。


「……ショック症状だ。」

「は?」

ジキルの言葉にラックスは声を上げる…。


「どういう事だ?」

ライターは自分の方へ向く事の無い
ジキルに顔を向けて尋ねた。


ジキルは彼女へと近付き、
震える彼女を引き寄せる。


自分の胸の中に納まった
彼女の頭に開いた片手をやり、
テンポをつけて撫でる…。


「…奴らの拷問で、
声が出なくなったとでも言おうか。」

ジキルはそう横目で
2人を見つめて答えた。









< 44 / 233 >

この作品をシェア

pagetop