その瞳に…魅せられて。
「…重症だ。傷も含めてな。
……撤収するぞ。」
ジキルは、彼女から離れて歩き始める…。
……彼女を置いて…。
「置いていく気か?」
ジキルの前に立ち、行く手を阻むライター。
「名が確認できないのなら仕様が無い。」
ジキルは乾いた息と共にそう言葉を吐いた。
「此処には彼女しかいねぇだろ。
それで判断しろ。」
「軽率な判断は、失態を招く。」
ライターに鋭い瞳を向けて
ジキルは言葉を返す…。
「はっ…。失態だと?」
呆れたように顔を歪ませるライター。
「身の危険を防ぐ為だ。
重症人の3人を庇って帰るのは高度な事。
こっちの身にもなれ。」
そうまたライターを通り過ぎようとする
ジキルの胸倉を…ライターが掴んだ。