その瞳に…魅せられて。






「ジキル…貴方と同じ人種でしょう?彼女…。
手当てに戸惑ったわ…。
輸血しなきゃって思ったのに…
彼女に合う血液がひとつも…」

レインはそう立ち上がって言った。


「……彼女、大丈夫なの?」

ゼルも不安そうな声を出す…。


「…。」

ジキルは何も言わずに、寝台に腰をかけた。


ルアンの前髪を掻き分け、
布団を首までかけてやる…。


「お前ら、ルアンが目覚めても。
…何も聞くな。」

ジキルは冷めた声を発すると
翼を動かす…。


「あ?何でだ?」

ラックスはグラスに注がれた
ワインを飲んでそうジキルに尋ねた。


「声ひとつかけるな。絶対にだ。」

ジキルは立ち上がると
ポケットから札束を出してレナに放り投げる…。








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