その瞳に…魅せられて。
「新しい服でも買ってやれ。」
ジキルはそのまま自分の部屋へ
通じるドアを開くと…
部屋に入り込んだ。
バタンッ…。
そう小さな音が
ジキルには大きく聞こえてならなかった。
熱を帯びる体はだるく…
息はやりずらい…。
ひとつため息を吐いたジキルは
そのまま寝台に身を投げた。
もう空は暗く、星が輝いている…。
頭に浮かぶのは…
ライルのあの言葉のみ…。
『我が兄が、惚れた女ですから…』
ふっと鼻で笑ったジキルは
頭の後ろに手を回した。
(あの男が…女に惚れただと?)