その瞳に…魅せられて。
ジキルはそんなルアンに見向きもせず、
その手を彼女の頬に寄せた。
「一人が嫌なら、俺の傍に居れば良い。
お前も俺と同じく、人間を
…信用していないのだろう?」
軽く頬を撫でたジキルは
そっとその手をルアンから離す…。
「レナ、手当てを」
ジキルはそう言うと…
部屋から出て行こうと
ルアンに背を向けた…。
と、その時…。
ジキルの体がその場に留まり…
部屋に更なる驚きが沸き起こる…。
「…どうした。」
静かなジキルの声…。
ジキルの腰には…
しっかりと細く、白い腕がまわっていた。
小刻みに震える腕。
誰のものなのかも、
ジキルには分かっていた。
「ルアン、」
そう震える腕に手をあてるジキル…。