その瞳に…魅せられて。






「ジキルってね?
いつも冷めた声で、冷めた事ばかり言って…
冷めた目で人を見て…。自分の領域に
人を踏み込ませないじゃない?」

「うん。」

「私ね?…今まで怖いからだと思ってたの。」

レナの言葉に「怖いから?」と、尋ね返すゼル…。


今居る部屋のドアからは
ルアンを手当てするジキルの姿を見えた。


「昔、自分が酷い目に
されたようにされるんじゃないかって…。
そういう恐怖。でも…最近は…
そうじゃないって思えてきた…。」

2枚の羽根を重ねあわせ、
それを指先でまわすレナ。


「どういう事?」

ゼルは眉間に皺を寄せ、レナを見ていた。


「ジキルはね?
それではない恐怖に苦しんでる。
自分の憎む人間全てを
殺してしまうかもしれない恐怖に。
…私も、ゼルも…。
ラックスもライターも…。
自分の身近に居た者を
殺してしまうかもしれない恐怖に。
…苦しんでる。」








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