犯人の足跡
深夜の殺人偽装
殺してしまった・・・勢い余って。

俺の手に握られているロープと、それに絡みついてぐったりと動かなくなった大学の友人、坂田 紀仁の姿が俺を現実に戻す。


21歳、大学3年生、人を殺してしまった。

俺の人生も終わりだ・・・。


深夜の静寂の中、カチカチと動きつづける時計の音が坂田紀仁の部屋を支配する。

そして微かに聞こえてくる自分の息を吐く音、そして心臓の鼓動。


しばらく坂田紀仁の部屋を歩き回る。


ささいな口喧嘩から、勢いでロープを握り首をしめた。気がつけば彼はぐったりしていた。


しばらく歩いていると、段々冷静さを取り戻してきた。


顔に貯まっていた熱が引いていくのが分かる。


ここは彼の部屋、一人暮らししているアパート。

殺人動機は今起こったささいな口喧嘩、動機はたった今出来た。誰も知らない。

そして、この殺しの現場を目撃した人もいない。



自殺に、みせかけよう。
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