犯人の足跡
俺はビクッと一瞬跳ねた。

どうやらメールがきたみたいだ。

坂田紀仁のケータイを触らずに観察した。


(俺が坂田紀仁を装って返すべきか?いや、警察が調べれば死亡推定時刻くらいわかる。死亡推定時刻にメールを返したとなると奇妙な事になる。自殺に見せかけるんだ。自然にしておかなければ。)


俺はケータイを無視して部屋の中を確認した。


(自分の触ったところの指紋は消しておくべきか?)


自分の触ったテーブル、ソファなど拭こうとしたがやっぱりやめた。

指紋があるべきところには指紋がなければならない。

警察が調べて、テーブルに指紋が無ければ誰かが拭き取ったと考える、自殺する者が指紋を拭くとは思えない、殺人だとバレてしまう。

俺は指紋を拭く事をやめた。

何度かこの家に遊びに来た事もある、俺の指紋がでることはおかしくないし、自分の指紋がとられるときは容疑者に上がった時だ。

これは自殺にみせかけるんだ、そもそも容疑者すらいないということだ。
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