犯人の足跡
遺書が無いのは仕方ないと思った。


下手に遺書を書いてなにか墓穴掘るのもまずい。


テーブルの上に置いている自分の財布、ケータイをポケットにいれ、コートを着る。


部屋中を見渡す、なにも忘れ物も無い。手袋変わりに使ったタオルもポケットに入れた。


また、付けっぱなしのテレビから笑い声が聞こえてきた。


その声は俺にしか入ってこない、部屋の主はロープで首をつり、意識も無く宙に浮いていた。


俺は玄関にいき靴を履いた。最後にもう一度部屋を見渡し、玄関付近にある電気のスイッチを押して部屋の電気を切った。


もちろん、指紋がつかぬようにタオルを使用して。


部屋が真っ暗になる。周りに誰も居ない事を確認して、俺はその漆黒の部屋から出た。


真っ暗なのは部屋だけでなくアパート全体だった。


照明が暗くアパートが不気味だと感じるのは俺が人を殺してしまったからだろうか。


その後俺は何の問題も無く自分の住むアパートへついた。
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