★My Homeの秘密★♪〜brother&sister〜
『もっとさ、俺にもお前や凌兄みたいな大人っぽさがあったら良かったのになー…』
『…なんだよ、凌さんがどうかしたのかよ?』
前に一度だけ校門にいる凌さんを遠目で見たことがあった。
遠目なのに、そのかっこよさははっきりとわかった。
『あいつ、ぜってぇ凌兄を選ぶんだ…』
勇紀が躊躇いがちに呟いて、
瞳がせつなげに揺れていた。
『選ぶ…?』
そう言った時、勇紀が栞ちゃんの婚約者になったことを教えてくれた。
そして、あの“無理”だと言った本当の理由――…
『栞…あいつさ?自覚ねぇけど、昔っから凌兄のことが好きなんだよ、多分…』
切なそうに言葉を発し、表情も少し苦しそうで、見ているこっちまで辛くなった。
『…んで、凌兄も……』
それはきっと、ずっと側にいるからわかってしまうことなんだろうか。
無理だと言った、本当の理由が分かった。
勇紀が彼女を想うように…
彼女も違う人を想っていた。
なんて、辛いんだろう。
出来ることなら、勇紀と栞ちゃんがくっついてくれればいいのに…。
そう思ってしまう俺は、たった一人の勝手な意見だ。