I pray 信じて……
は〜、深奥だか新王だか知らないけど、と銀河高校の一番打者は心中に呟いていた。

この一番打者の名はマーズ。女性である。しかも外国からの留学生であり、野球と短距離走を両立していたのである。

なんで私たちがこんな格下相手と練習試合しなくちゃならないのよ?

おまけにピッチャーが誰って?シゲル?知らないわよ、あんたなんか。まあ、顔はちょっとイケメンみたいだけど、野球は顔でするものじゃないわよ。ま、秒殺ね。ファミスタみたいなスコアにしてやるわ!

と、構えたマーズに、シゲルが第一球を投じた。フォームは悪くない。

だが、マーズはにやりと笑っていた。こんなショボいストレート怖くないわ。カキンと一発――!

マーズの思惑通り、カキンと高く上がり、ボールはセンターのバックボードに直撃、ホームランとなった。
「嘘だろ……」
初球からいきなりホームランを打たれたシゲルはショックだった。

「シゲルはん!気にせぇへん!まだこれからやで!」とナナコはベンチからメガホンを使って声援する。



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