I pray 信じて……

選手が退場したあと、サトシはまだを下を向いたままだ。

「……うぅ……」

ついに涙を流してしまった。だがすぐにその涙を拭い、みんなの方に向かって謝ろうとしたその時だった。

「サトシー惜しかったな」と声を掛けられたのは繁だった。シゲルはサトシの肩をポンと置く。

「シゲル……」

「何泣いてんだよサトシ！俺達だって泣きたいんだぜ！」

とケンゴ。

ヒロシもハルカもシュウもシンジもノゾミもサトシの回りによる。

「みんな……」

そして監督代行のナナコも

「サトシはん。そしてみんな。ウチら野球部のために試合してくれてウチは勝敗なんて気にせぇへん。ウチはみんなに感謝してるんや。ウチはその気持ちだけで十分や。みんなホンマにおおきに……」

「ナナコ……でも俺……」

「サトシはん。ウチのことはええさかい。まだ他に言わなあかん人がおるやろ」

ナナコの後ろにはカスミとヒカリがいた。サトシはカスミの元へ向かう。

「カスミ……ゴメン……俺……」

「何やってんのよサトシ」

「……ゴメン」

サトシは何も言い分がない。数秒の沈黙。だが沈黙をきったカスミは。

「しょうがないわねぇ。じゃあ、あんたからキスしてくれたら許してあげる」

「え……な!?」

サトシはびっくりした。

「嫌？」

「い…いやそんなことはないよ……」

「じゃあ…」

カスミは目を瞑った。サトシも目を瞑る。顔がゆっくりと近づき……そして唇が重なる。

このとき回りにいたクラスメイトたちは吹き出しそうで堪えていた。