ラブ・ワールド
今でさえ、少しずつだが ジェンダーやらマイノリティーやらと、同性愛に関して扉は以前にくらべ、広くなった。

携帯電話による、インターネットの普及もあるし
レイが、自分のセクシャルに気づいたころ


…10代前半には、こんなにオープンではなかったし


本当に、この 今の状況は つい5、6年前までは 考えられなかったのだから…。


時々思う。


レイよりも、もっと歳を重ねている世代の人たちのことを…。


青春時代、一番人生で楽しい時間を。


いや、人生の時間のほとんどを…


悩みながら、苦しみながら耐えて生きてきた人たちを…


思うと、『現代の同性愛』で 悩んで 前に進めない自分は 甘い。


レイはそう思っている。

それでも、実際には 前に進めない時期もあった。

それは、不規則に レイを襲った。


『同性愛者』という 単体だけではなく


時としては、その他の問題を巻き込みながらやってきた。


想像を絶する、苦しみのあまりに


鬱状態にもなり、精神科の門をくぐったこともある。


今だに、その名残でレイはパニック障害を完治出来ずにいる。


それでも、ナナと出会ったおかげで


今では 元気なころの…


悩み事なんて あっても、どんどん前に進めたころの70%くらいまでには 回復していると思うのだ。

レイは、隣でおいしそうに食事を楽しむナナの膝を触る。


「ナナ、おいしい?」


「おいしいよ、はい、」


ナナはレイの口にスプーンを運ぶ。


「すいませーん。二人の世界かょー」


リュウは、うらやましそうに。


でも、レイのことを ほっとした気持ちで 眺めた。

3人は店を出ると、リュウのアルバイト先のバーでヒロコの到着を待つことにした。
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