ラブ・ワールド
ナナはソファーにもたれて

あたしは さらに ナナの足元にクッションを敷いて 寝転がる。


ナナが つま先で あたしの首や 肩を 撫でる。


あたしも片方の手で、ナナのつま先や踵を いじりながら キスをする。


ここで 少し 詳しく あたしたちについて


書いとこうかな…。


あたし。


イシイ レイ。


28歳。


仕事、料理人。


アジアが好きで アジア料理を作ってる。


つい 最近まで セックス恐怖症…


ナナと出会うまで キスさえ 出来なかった。


いや それはそれは かなり 悩みましたよ。


だって 性欲って 人間 生きる上で 絶対 必要じゃん?


生きるために ご飯食べる。

子孫 残す為に セックスする。

…出来なかったんだよ。

女だから まだ マシかもしれないけど


これ 男なら 立派な ビョーキ。


インポテンツ、EDよ。


離婚されちゃうとこでした…!!!


いまじゃ そんなこと 見る影なし。


「レイが男だったら、子沢山ビンボー大家族でテレビ出てたね」

って ナナが 笑うくらいに


性欲 あります…。


まだまだ あたし イケそうな気がする〜♪♪♪


あると思います。


冗談 冗談。


だけどね。


まだ 20代なのに すでに 性欲ないなんて


結構 人生 捨ててたんだよ。


もともと ひねくれやすいわけだけど。


自分が 同性を 好きな以上 通常の恋愛は 出来ないし。


それは セックス以前の話しでね。


好きになった人に


『好きです』


さえ 言うことが 咎められる。


あたしには 『自由』なんて ないんだって。


『イシイ・レイ』って人の人生を 外側だけ借りて
生きている。

いや、 息してるだけの 行為としか 思えなかった。


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