スリー・イヤーズ・カタルシス
ふっと
背中の重みがなくなった。
彼女は
何かをがさごそとさがしていた。
そして
またおれの所に戻ってきて
「ここに電話してほしいの」
と一枚のカードを
おれの肩ごしに突き出した。
細い指が
とてもきれいだと思った。
おれは
その電話番号だけ書かれた
紺色のカードを受け取って
携帯の番号を押した。
その番号は携帯番号ではなくて
見たこともないような市外局番だった。
電話がつながった。
「コレノリです」
電話の向こうで
落ち着いた大人の男の声がする。
「あっ、ええと……」
おれがあたふたしていると
彼女の手が
すっと後ろから伸びてきて
おれの電話を手に取った。