スリー・イヤーズ・カタルシス


「ごめんなさい。わたしの家に来るときは、お昼寝していただいてるの」


彼女は



驚くほど目をそらさないしゃべり方をする。



おれは



こんなに目をまっすぐに見ながら



話をする女の子を初めて見た。



おれはその錠剤を



ペットボトルの残りの水で流し込み



アイマスクを付けた。



おれが



アイマスクを付けるのが



合図であるかのように



車がすーっと走り出した。



「サヤカさま。何という格好をされているのですか」



ジョージクルーニーの声が聞こえる。



「ちょっと服を汚したのよ」



「お一人で飛び出されるのは、おやめください。大変心配しておりました」



「もう、行かないわ。夜の街って……意外とつまらなかった……」



そこまでの会話が聞こえて



おれは眠りに吸い込まれた。







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