スリー・イヤーズ・カタルシス
【10円玉の表と裏】
目をさましたときは
まだ車の中だった。
しばらく頭の中が重たくて
視界がかすむ感じがしながら
流れる景色を見た。
道の両側は
背の高い木が続いていて
とても緑が濃い。
道はゆるやかな上り坂である。
右に左にカーブしながら
ずいぶん登ったと思ったら
両脇の緑が開けて
気が付いたときには
大きな庭園のようなところを
走っていた。
サヤカちゃんは
おれのいる反対側のドアに
よりかかるようにして眠っていた。
そのうち車は
鉄格子の門の前にいて
両開きの門が自動的に開いていく。
ここがサヤカちゃんの家だというのか?