スリー・イヤーズ・カタルシス
車がベントレーで
おかかえの運転手が
ジョージクルーニーのような
しぶいおじさんというだけでも
けっこうな金持ちだということは想像できたが
こんな広大な敷地に住んでいるなんて
おれの予想をはるかに超えている。
車は門をくぐったあともずっと走り続けている。
もう何十分経っただろうか。
やっと建物が見えてきた。
その建物は
大きな和風の建物で
おれは似たような建物を
どこかで見たことがあるような気がして
一生懸命思い出していた。
なんだっけ?
あれだよあれ……
十円玉に描かれているあの建物……
そう!
平等院鳳凰堂だ。
あんなイメージの建物だ。
十円玉で見るあの建物は
すごく小さいが
今おれの前に見えているのは
そんじょそこらにある建物とは
スケールが違う。